グレース(松阪市立豊地小学校)

Averill Manfacturing(アヴェリル マニュファクチャリング)社製

パスポート未確認。ドレスはオリジナル。

名前:地域での伝承。

送り主:不明

配布先:一志郡豊地尋常高等小学校(現:松阪市立豊地小学校)

歓迎会写真:未確認

ネブラスカ書簡:なし

守った人:校長(中林重太郎さん)、女教師(越山志げさん)


「グレース」という名前が地域に伝わっています。1927年当時の歓迎会写真は今のところ見つかっていませんし、ネブラスカにも手紙はありません。ただ、小学校には1927年に日本国際児童親善会から配布された「可愛いお人形が親善のお使い」という小冊子が残っています。

越山志げさん
越山志げさん

人形を戦争中にかくまっていたのは、豊地小学校で先生をされていた越山志げさんです。

 中林重太郎校長が「可愛らしい人形を焼却できない」と、越山さんに人形を保管してほしいと頼みました。越山さんの家は隣村で、周辺が山だったので人目につかないだろうと校長は考えたそうです。

 越山さんは義母と相談して、人形を自宅の土蔵の中に隠し、二人は家族にも内緒にしていました。学校の子どもたちには「人形は焼却した」と伝えたそうです。

 越山さんは1977年に豊地小学校に人形を戻されますが、それまで人形は土蔵の中で過ごしていました。返された時に越山さんは、「この人形が再び日の目を見ることのできる平和な時代が来て良かった」「やっと戦争が終わった」と思われたそうです。

 1983年に開催された日米友情交換人形再会式(11月10日 日本青年館)にグレースも参加し、絵葉書も作られました(右の写真)。

 グレースは児童玄関横のケースから子どもたちを見ていますが、4月は新入生に人形の紹介をするために校長室に飾られます。また、夏は校長室で避暑をするそうです。

 ケースには、2017年に交流したネブラスカ州オマハ市のファイアリッジ小学校などから贈られた写真や人形なども飾られています。